Perspective(パースペクティブ)は、プロダクトを介したコミュニケーションによって、物事を多角的・俯瞰的に捉えるプロジェクトです。 第2回はインテリアスタイリストの木村綾美さんにお話を伺いました。木村さんにとって Leather Wrapped Stone(以下「革石」)はどのようなものなのか。ご自宅を訪ねました。物を買うことは家に迎え入れること ご自身で買い物をする際、どのような感覚で購入することが多いですか? スタイリストさんによっては、プライベートな買い物は仕事で使うためのストックや資料集めといったニュアンスが強いと思いますが、私は自宅に迎え入れるという感覚で買い物をしているかもしれません。もちろん仕事とプライベートの境界線が曖昧なので買い物イコール仕事という感覚もありますけど。 物を選ぶ基準はありますか? 明確な基準はないのですが、物を多く持たないように絞っている感覚はあります。以前取材で自宅に来てくださった方に、スタイリストさんにしては物が少ないですねと言われたことがあって。仕事で使ったものやこれから使えそうなもの、趣味で買ったもの。スタイリストは仕事柄、物が自然と増えていくと思うんですけど、私は比較的少ないみたいです。 でも、物がたくさんあることへの憧れもあるんです。物でバランスを取るようなインテリアのスタイル。例えばレコードや本のコレクションがあって、その他にも色々な物、例えばどこかのお土産なんかも置かれているような。でも私にはなかなかそれができなくって。情報過多な感覚になってしまって物の量を絞っちゃうんですよね。 だからなのか、少ない物の中でバランスを取るためにいつも物の素材感や形を無意識にシミュレーションしている気がします。この素材感のものとあの素材感のものを組み合わせたらお互いを引き立てるなとか、この組み合わせだとこの素材感がひとつだけ際立って良いなとか。もともと持っている物と新しく迎え入れる物の素材や形の組み合わせを考えている感じですね。 革石もやはりシミュレーションを? 革石は、最初に見た時はこれがオブジェなのかペーパーウェイトなのか分からなかったんですけど、革が石の曲線に引っ張られている違和感というか力強さみたいなものが面白くて。何だかよく分からないけど直感的に、あ!これは迎え入れなきゃ!って。うん、今思えば革石はシミュレーションしていなかったかもしれないですね。笑周囲に馴染みバランスを整える 革石はどのように使っていますか? そうですね、例えば本の上に飾りとして置いたり。 棚のどこかに置いたり窓辺に置いてもいいし。もしかしたらリビングじゃなくてもいいのかもしれない。他のものとうまく調和してくれるので自宅のいろいろな所に置いて楽しんでいます。 石ってスタイリングでよく使うんです。例えば棚を飾る時などは本や箱といった四角の物が多くなるんですけど、そこに丸い物を合わせると引き締まった印象になってバランスが良くなります。石は丸い物の中でも特に違和感なく周囲に馴染みますし、バランスも取りやすいのでおすすめのアイテムですね。 スタイリングのコツがあれば教えてください。 無造作に転がしてみたり置いてみると良いですね。そんな風に無作為に置くことを私は「ポロンする」と言っていますが、ポロンすると自然な雰囲気になりますよ。揺らぎの感覚 革石の魅力はなんでしょうか? 革石って機能がないですよね。それが良さなのかもしれません。花瓶はお花を挿すための穴がありますよね。機能として穴が必要で、お花を挿すことで完成する物。もちろん花瓶そのものだけで美しいものも沢山ありますけど、穴っていう機能がどうしても必要で。時計はどこに置いても成立するものじゃないし、トレーも何かを入れたり収める機能がある。だけどこの革石には機能がないからどこに置いても成立するというか。固定化されない、空間に「揺らぎ」を与えてくれる存在ですね。 革石のテーマのひとつにも「揺らぎ」が含まれています。 そうなんですね!実は私自身が最近テーマにしていることが「揺らぎ」なんです。確固たるものを持ったり一本筋を通すといったことが重要だとずっと考えていたんですけど、本来の自分はもっと揺らぎのある感覚を持っているんじゃないかって。自分の感情は常に揺らぐもの。大事なのは変化しないことではなくて、変化を見つめて受け止めることだと思うようになったんです。 木村さんの「揺らぎ」の感覚を革石が象徴しているようです。 そうなのかもしれませんね。オブジェは個性が強いとレイアウトを考えなきゃいけないんですけど、革石は柔らかさがあるからどこに置いても心地よい気がします。木村綾美Kimura Ayami インテリアスタイリスト。プロップスタイリスト・フードスタイリスト・インテリアスタイリストの3人からなる「MaG」所属。広告でのスタイリングやコーディネートなど多くの案件に携わっている。 Instagram: @ayami.kimurahttps://mag-soa.com/Edit and Photograph: Shioda Yuya
Perspective: Vol.2 インテリアスタイリスト 木村綾美
Perspective(パースペクティブ)は、プロダクトを介したコミュニケーションによって、物事を多角的・俯瞰的に捉えるプロジェクトです。
第2回はインテリアスタイリストの木村綾美さんにお話を伺いました。木村さんにとって Leather Wrapped Stone(以下「革石」)はどのようなものなのか。ご自宅を訪ねました。
物を買うことは家に迎え入れること
ご自身で買い物をする際、どのような感覚で購入することが多いですか?
スタイリストさんによっては、プライベートな買い物は仕事で使うためのストックや資料集めといったニュアンスが強いと思いますが、私は自宅に迎え入れるという感覚で買い物をしているかもしれません。もちろん仕事とプライベートの境界線が曖昧なので買い物イコール仕事という感覚もありますけど。
物を選ぶ基準はありますか?
明確な基準はないのですが、物を多く持たないように絞っている感覚はあります。以前取材で自宅に来てくださった方に、スタイリストさんにしては物が少ないですねと言われたことがあって。仕事で使ったものやこれから使えそうなもの、趣味で買ったもの。スタイリストは仕事柄、物が自然と増えていくと思うんですけど、私は比較的少ないみたいです。
でも、物がたくさんあることへの憧れもあるんです。物でバランスを取るようなインテリアのスタイル。例えばレコードや本のコレクションがあって、その他にも色々な物、例えばどこかのお土産なんかも置かれているような。でも私にはなかなかそれができなくって。情報過多な感覚になってしまって物の量を絞っちゃうんですよね。
だからなのか、少ない物の中でバランスを取るためにいつも物の素材感や形を無意識にシミュレーションしている気がします。この素材感のものとあの素材感のものを組み合わせたらお互いを引き立てるなとか、この組み合わせだとこの素材感がひとつだけ際立って良いなとか。もともと持っている物と新しく迎え入れる物の素材や形の組み合わせを考えている感じですね。
革石もやはりシミュレーションを?
革石は、最初に見た時はこれがオブジェなのかペーパーウェイトなのか分からなかったんですけど、革が石の曲線に引っ張られている違和感というか力強さみたいなものが面白くて。何だかよく分からないけど直感的に、あ!これは迎え入れなきゃ!って。うん、今思えば革石はシミュレーションしていなかったかもしれないですね。笑
周囲に馴染みバランスを整える
革石はどのように使っていますか?
そうですね、例えば本の上に飾りとして置いたり。 棚のどこかに置いたり窓辺に置いてもいいし。もしかしたらリビングじゃなくてもいいのかもしれない。他のものとうまく調和してくれるので自宅のいろいろな所に置いて楽しんでいます。
石ってスタイリングでよく使うんです。例えば棚を飾る時などは本や箱といった四角の物が多くなるんですけど、そこに丸い物を合わせると引き締まった印象になってバランスが良くなります。石は丸い物の中でも特に違和感なく周囲に馴染みますし、バランスも取りやすいのでおすすめのアイテムですね。
スタイリングのコツがあれば教えてください。
無造作に転がしてみたり置いてみると良いですね。そんな風に無作為に置くことを私は「ポロンする」と言っていますが、ポロンすると自然な雰囲気になりますよ。
揺らぎの感覚
革石の魅力はなんでしょうか?
革石って機能がないですよね。それが良さなのかもしれません。花瓶はお花を挿すための穴がありますよね。機能として穴が必要で、お花を挿すことで完成する物。もちろん花瓶そのものだけで美しいものも沢山ありますけど、穴っていう機能がどうしても必要で。時計はどこに置いても成立するものじゃないし、トレーも何かを入れたり収める機能がある。だけどこの革石には機能がないからどこに置いても成立するというか。固定化されない、空間に「揺らぎ」を与えてくれる存在ですね。
革石のテーマのひとつにも「揺らぎ」が含まれています。
そうなんですね!実は私自身が最近テーマにしていることが「揺らぎ」なんです。確固たるものを持ったり一本筋を通すといったことが重要だとずっと考えていたんですけど、本来の自分はもっと揺らぎのある感覚を持っているんじゃないかって。自分の感情は常に揺らぐもの。大事なのは変化しないことではなくて、変化を見つめて受け止めることだと思うようになったんです。
木村さんの「揺らぎ」の感覚を革石が象徴しているようです。
そうなのかもしれませんね。オブジェは個性が強いとレイアウトを考えなきゃいけないんですけど、革石は柔らかさがあるからどこに置いても心地よい気がします。
木村綾美
Kimura Ayami
インテリアスタイリスト。プロップスタイリスト・フードスタイリスト・インテリアスタイリストの3人からなる「MaG」所属。広告でのスタイリングやコーディネートなど多くの案件に携わっている。
Instagram: @ayami.kimura
https://mag-soa.com/
Edit and Photograph: Shioda Yuya
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